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高岡の祭り
二上射水神社 築山行事
古代信仰では、神は天上にあり、祭に際して降臨を願うものとされました。築山行事は毎年4月23日二上射水神社の春祭に行なわれています。境内の三本杉と呼ばれる大杉の前に、社殿に向って築かれる臨時の祭壇は、幅4間、奥行3間、上下二段になっており、上段中央に唐破風の簡素な祠が置かれ、その前に日吉、二上大神、院内社三神の御霊代である三本の御幣(ごへい)が立てられます。祠の屋根の上には斧をかざした天狗が立ち、下段には甲冑に身を固めた多聞天・持国天・増長天・広目天の四天王の藁人形が置かれ、祭壇の左右には桜と白いモクレンを模した紅白の造花が篭いっぱいに入れられ飾られます。また築山の壇の腰には、丸に紅葉の葉をあしらった幕が巻かれています。
三本杉の前に設営された築山、写真は2008年4月23日撮影
祭礼の前日の夕刻、頭屋(とうや)にあたる山森氏(ゴヘイドン)と神主が二上山頂にある奥の御前の日吉社から依代(よりしろ、神霊が宿る対象物)の御幣に神を迎え、一夜自宅でお護りし翌日朝に築山に神様を遷します。院内社は祭の当日迎えられます。祭儀は、午後二時頃から行なわれ、社殿で例大祭の儀式が済むと三基の舟形をした神輿が境内を巡行し築山へ向かいます。ゲンダイ獅子(源太夫獅子)を露払いに、御幣を捧げたゴヘイドン、神主、その後に院内社、二上大神、日吉社の神輿が続きます。途中で院内社の神輿だけが一旦鳥居の外に出て、戻って二上大神と日吉社の間に割って入ります。これを「院内割り込み」といいます。その後、築山の前まで進み、3基の神輿が並べられゲンダイ獅子のお祓いの舞い・神主による祝詞の奏上・地元の少女2名による神楽舞などが行われます。次に、天の真名井の前へ移動しゲンダイ獅子のお祓いの舞い・祝詞(のりと)が奏上され、本殿の前に戻って一連の儀式が終了します。祭儀が終ると築山はただちに解体され片付けられます。遅れると神様が荒れると伝えられています。
この築山行事は、天上から臨時の祭壇に神を迎える古代信仰を本義を良く残しています。本来は動かない築山がやがて動く曳山へと発展していったと考えられており高岡御車山の原初形態を知る上でも貴重です。また、社殿の神事と古代信仰の築山行事の二重の神事を同日に行なっている点も興味深いものです。富山県指定無形民俗文化財。
築山行事 写真
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