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薬師岳登山
初秋の薬師岳登山
初めての薬師岳登山です。当初は立山室堂から縦走しようかと思いましたが、経験と体力および天気を考えて、一般的な折立登山口(標高 1356m)から薬師岳(標高 2926.0m)へのピストンで行きました。最短であれば、1泊2日で登れるようですが、写真を撮りながらゆっくり登るので、2泊3日のテント泊としました。
薬師岳(写真:2014年9月3日9時40分撮影)、薬師岳山頂南側の稜線から
折立から薬師岳・北薬師岳への単純往復 登山コース(2泊3日、全歩行時間 14時間5分)
[1日目] 折立登山口から薬師峠キャンプ場まで行きテントを設営し太郎山へ登りテント場へ、歩行時間 6時間35分
折立登山口 1356m~(登り2時間)~三等三角点「青淵」 1869.9m~(登り1時間30分)~五光岩ベンチ 2189m~(登り1時間30分)~太郎平小屋 2330m~(やや下り20分)~薬師峠・キャンプ場 2294m~(やや登り20分)~太郎平小屋 2330m~(登り20分)~太郎山 2373.0m~(下り15分)~太郎平小屋 2330m~(やや下り20分)~薬師峠キャンプ場
[2日目] 薬師峠キャンプ場から薬師岳と北薬師岳へ登頂し引き返し薬師峠キャンプ場まで、歩行時間 6時間
薬師峠・キャンプ場 2294m~(登り40分)~薬師平 2477m~(登り1時間10分)~薬師岳山荘 2701m~(登り1時間)~薬師岳山頂 2926.0m~(稜線下り30分)~北薬師岳 2900m~(稜線登り40分)~薬師岳山頂 2926.0m~(下り40分)~薬師岳山荘~(下り50分)~薬師平~(下り30分)~薬師峠・キャンプ場 2294m
[3日目] 薬師峠キャンプ場から折立まで下山、歩行時間 3時間30分
薬師峠・キャンプ場 2294m~(やや登り20分)~太郎平小屋 2330m~(下り1時間)~五光岩ベンチ 2189m~(下り1時間)~三角点「青淵」 1869.9m~(下り70分)~折立 1356m
2014年9月2日~4日の薬師岳登山のお話。始まり・・・、かなり長いです。
1日目:折立登山口~太郎平小屋~薬師峠キャンプ場
2日目:薬師峠キャンプ場~薬師岳と北薬師岳
3日目:薬師峠キャンプ場~太郎平小屋~折立登山口
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2014年9月2日、晴れ。8月はずっと、ぐずついた天気が続き、天気予報も当てにならず・・・。漸く、二日ほど晴れもしくは曇りの予報となったので堪えきれずに9月2日から、2泊3日で薬師岳へ登山することにしました。
薬師岳への一般的なルートである折立登山口から入山です。いつも立山へ行く時と同じ県道6号線(富山立山公園線)を進み、ガソリンスタンドのある交差点「芳見橋」で右折し、有峰林道・折立の看板に従い進みます。朝5時45分くらいに有峰林道・亀谷ゲートに到着、林道は夜間通行止め、ゲートが開くのは朝6時からのため平日にも関わらず20台ほどの車が止まっていました。夏のピークはもっと大変なことになっているそうです。時間通りに6時にゲートが開きましたが、通行料1900円(普通車、2014年現在)を支払うため、ノロノロと進みます。ゲートを通過するとすぐトンネルで、想像していた林道と異なり立派な道が続きました。と思いましたが、それは林道で、所々一車線になったり工事中の場所があったりして、片側交互通行もありました。途中の有峰湖(有峰ダムの人造湖)は大きかったです。
有峰林道・亀谷ゲート
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開門待ち車列
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折立の駐車場に到着したのは、6時45分でした。登山中の人々の車もあったので、駐車場は7割ほど埋まっていました。大きな芝生広場があり、そこが折立キャンプ場のようです。道路に面したところにはトイレもあります。駐車場を出てアスファルトの車道を少し行くと折立登山口のゲートがあり、「中部山岳国立公園 薬師岳登山口 標高 一,三五六米」と書かれた大きく白い案内柱が立っています。ゲートを越えると、左手に折立ヒュッテがありました。ヒュッテの壁には水場が設置されています。右手を見ると、トイレがあり、赤い自動販売機もありました。缶ジュースは130円で地上と同じ値段、ペットボトルは150円と180円の2種類でちょっと高いのもある、といった感じでです。
折立登山口(写真:2014年9月2日 7時05分撮影)
折立登山口の駐車場
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折立キャンプ場
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折立ヒュッテ
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折立ヒュッテの水場
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パチリパチリと写真を撮りながら歩いているとナカナカ登山道にたどり着けないのですが、7時09分に「太郎山を経て薬師に至る / 太郎坂」と書かれた苔むした木製の案内柱の場所から登山道が始まりました。登山道に入って30秒の場所(左手)に石碑(十三重之塔 慰霊碑)がありました。ここでもパチリ、時間が掛かってしょうがないぞ・・・。
「太郎山を経て薬師に至る」
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十三重之塔 慰霊碑
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最初は緩やかだった樹林帯の上りも、段々と急坂になります。樹林帯と言うことで展望はありませんし、坂がきついので、キョロキョロする余裕も無く、さすがの私もこの辺りではほとんど写真を撮りませんでした。登山口から登り始めて50分の7時59分に「アラレちゃん展望所(標高 1690m)」に到着しました。昔、流行った「ドクタースランプ、アラレちゃん」の看板がある場所で、木立の枝の間の遥か向こうにこれから目指す、薬師岳を眺められます。疲れていたので、この展望所から見た薬師岳の写真を撮り忘れました・・・、下山時はガスで山頂部を見られず・・・、失敗。アラレちゃん展望所を過ぎると、登りがほんの僅か楽になったような気もしますが、ほとんど気のせいかもしれません。乾いていれば良いですが、雨で濡れると、木の根で滑るし、沢のようになる道なので、かなり注意が必要です。
折立から登って最初の休憩ポイントとなる三等三角点「青淵」(標高 1869.9m)には、8時34分に到着しました。標準コースタイムが登り2時間とされているので、1時間半でここまで来られたのは、わたし的には順調すぎるハイペース。
三等三角点「青淵」1869.9m
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三角点「青淵」から眺めた薬師岳
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三等三角点「青淵」で休憩をとり、8時49分に三角点を出発。三角点の場所よりも、その先の場所(約2分歩いた所)が剱岳の見晴らしが良いです。三角点を過ぎると樹林帯の背が低くなり、5分ほど歩くと滑々の岩が露出した場所を歩き(濡れているとかなり危険な場所、標高 1880m付近)、その先は木道と丸石の登山道が交互に続きます(たまに樹林の中)。9時03分頃に1934m平を通過。この場所からは富山平野の見晴らしが良く、富山湾と能登半島まで眺められます。
岩の登山道
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木道の始まり
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1934m平のベンチと1934mピークを過ぎると、登山道は一時的に下りとなります。と言っても約1905mの場所に鞍部(ベンチ有)があるので、まぁ30メートルの下りです。この1905m鞍部を9時10分に通過、鞍部を過ぎると再び登りとなり、低めの樹林帯に入りました。1940mくらいの場所で正面に太郎平小屋のある太郎兵衛平が見えてきました。頑張って登り、2011m地点のベンチへ9時32分に到着。2011mベンチを過ぎると草原帯を進み、木道と岩ゴロの道が半々続きます。この高さまで来ると、有峰湖全体が見渡せます。
五光岩ベンチ(標高 2189m)には10時19分到着(折立登山口から3時間10分)。谷を挟んで北側に五光岩と呼ばれる大きな岩があるので「五光岩ベンチ」と呼ばれています。で、その五光岩を眺めるのですが、よく判らない・・・。地図と風景を重ねて見るに、向い側の木に覆われたボコッとした場所が地図にある「2233 五光岩」らしいです。ただし、ボコッとした岩山らしい全体が五光岩なのか、その岩山の中にあるむき出しの白い岩だけを五光岩と呼ぶのか不明(たぶん前者の岩山全体)です。
五光岩ベンチ
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五光岩
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10時27分に五光岩ベンチを出発し、5分ほど歩いて2196mピークの北側を過ぎました。ずっと、太郎平を眺めながら、気持ちのいい草原地帯をひたすら登ります。緩い登りなので、景色を楽しむ余裕もあります。
標高が高くなってきたので、高山植物の種類も増えてきました。いつも行っている立山で見るのと違う種類の高山植物も目に付きます。って、よく判らないので、途中から一緒になった夫婦連れの奥さんが詳しくて教わりながら・・・。「ネバリノギラン」ってのが面白かったです。既に枯れているのですが、花穂のところがネバネバで触って遊んでました。ただし、手に粘着性のネバネバがつくので後が大変(カメラのグリップにも付いちゃった・・・)です。
ネバリノギラン
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ベニバナイチゴの実
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太郎坂を登りきり、標高 2330mの太郎平小屋に到着したのは11時20分です。折立登山口から3時間10分でした。順調な初日です。3時間頑張ったので、太郎平小屋の前で昼食(おにぎり)としました。この山小屋で登山届け(2泊3日で薬師岳往復)を提出です。薬師峠キャンプ場の管理は、この山小屋が行っているので、キャンプ届けと料金を山小屋で支払います。8月まではキャンプ場に常駐管理人がいるので、テント場で受付と支払いが出来るのですが、9月以降は太郎平小屋での受付となるそうです。それも1日毎の受付だそうです。というのが原則らしいです(山小屋の受付嬢が言いました)。で実際は(少なくとも9月2日)、夕方キャンプ場に拡声器を持った山小屋の兄ちゃんが「受付まだの人は今支払ってください」と歩いてました。
太郎平小屋
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太郎平の指導標
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世間知らずな私は、太郎平小屋というのは寂れた山小屋かと思っていましたが、とても人気のある場所のようです。登山道としては交通の要所となる十字路に当り、多くの登山者に利用されているのでしょうね。ここからの見晴らしも抜群です。北には薬師岳の稜線(薬師岳山頂は見えません)、東に目を向けるとゴージャスな山並みが続いており、水晶岳、ワリモ岳、祖父岳、鷲羽岳、雲ノ平、三俣蓮華岳、双六岳、黒部五郎岳、北ノ俣岳と北アルプス最深部のお歴々が顔を揃えています。
昼休憩を終え11時48分に太郎平小屋を出発、20分ほど歩くと本日のテント場である薬師峠キャンプ場です。太郎平(地図の記載としては「太郎兵衛平」)をノンビリ歩くと気持ちよかったです。木道と土の登山道で歩き易く、登山道脇にはオヤマリンドウやネバリノギランなどの高山植物が咲いており、東側には裏銀座の稜線が続いていました。途中には大好きな槍ヶ岳を眺められる場所もありました。ゆっくり歩いたため、薬師峠キャンプ場に到着したのは12時10分となりました。と言う事で、折立登山口から薬師峠キャンプ場までの所要時間は 5時間でした・・・、写真撮影や休憩時間を含んでいるので私の実力から考えれば頑張りました。
お昼時に薬師峠キャンプ場へ到着したためか、幕営中のテントは僅か3張しかありませんでした。やはり9月の平日は少ないなと思ったのですが・・・、夕方には20張以上に増えていました。
薬師峠キャンプ場
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テント設営完了
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ゆっくりテントを設営しましたが、それも13時前に終わり、閑です。この時間から薬師岳への往復が出来るわけも無く、なので、太郎山へ行ってみることにしました。太郎平小屋の裏(南側)にある小高い山で、三等三角点があります。時間的にはサクサク歩けば、キャンプ場から往復1時間程度の距離です。13時10分に薬師峠キャンプ場を出発、先ほど来た道を引き返し太郎平小屋へ向かいます。13時36分に太郎平小屋を通過、13時40分に薬師沢への分岐点を通過、13時52分に太郎山への分岐点、13時54分に太郎山山頂(標高 2373.0m)に到着。ガスが出ているので展望ゼロ、残念、負け惜しみですが太郎平小屋とそんなに変わらない展望で、薬師岳がよく見える程度だと思います。
太郎山山頂
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三等三角点「太郎」標高 2373.0m
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山頂で三角点の写真を撮り、13時57分に再び登山道へ戻りました。まだ時間があるので、少しだけ南側(北ノ俣岳方向)へ進みます。薄くガスが掛かり遠望が出来ません。国土地理院の地図だと薬師沢へ行くもう1つの分岐点があるようですが見当たりませんでした(山と高原地図にはその道なし)。多分廃道になったのでしょう。GPSで地図を確認し、分岐点らしい場所で14時07分に引き返しました。14時32分に太郎平小屋へ着き、14時45分に薬師峠キャンプ場へ戻りました。
夕食は16時に食べました。いつもはご飯を炊いてレトルトカレーなのですが、今回は手抜きでチキンカレー味のアルファ米とレトルト中華丼ンにしました。ご飯を食べてボッ~としていると、南の空に北ノ俣岳、そして黒部五郎岳が見えてきました。
晩御飯、ペットボトルの液体はウィスキー
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黒部五郎岳と北ノ俣岳
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晩御飯を食べて閑になったので、夕焼けを見に行こうと・・・、再び太郎平小屋へ向けて17時10分に出発。「夕焼けが槍ヶ岳を赤く染める」ってな感じを期待したのですが、雲に隠れて先っちょしか見えませんでした。そもそも西の空は雲が多く、綺麗な夕焼けにはなりませんでした、残念。結局、夕焼け写真としては良いものを写せずテント場に戻り、19時にはシュラフに潜りグースカピーとなりました。
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2014年9月3日、晴れのち曇り(ガス)。傾いた場所にテントを建てたようで・・・、よく眠られなかったです。4時起床、外は星がたくさん出ていました。朝焼けを見たかったので、すぐに薬師岳へ向かわず、太郎平小屋のほうへ向かいました。グッと来る朝焼けを期待したのですが、ぜんぜん焼けませんでした、と思ってたら、薬師岳の稜線上でいい感じの朝焼けとなりました。めでたしめでたし、本日の薬師岳登山のさいさきが良いいかもしれません。
薬師岳の朝焼け(2014年9月3日 5時8分 太郎平から撮影)、なお撮影場所が太郎平なので薬師岳山頂は見えていません。このスカイラインは薬師岳東南稜線です。
薬師岳の朝焼けを見られたので気分良くテント場へ戻り、朝ごはん(五目飯のアルファ米とヌードルスープ)です。ゆっくしりしていると、テントを撤収する人や薬師岳へ向かう登山者がどんどん出発していきます。今日は天気がよさそうだし、今晩もこのテント場だしと、ノンビリする私でしたが、時間的に余裕があっても、早く出発すのが正解です。
薬師岳へ向かうために薬師峠キャンプ場を出発したのが7時05分です。テント場を出るとすぐに急な坂道に入ります。沢を横目に見ながらの坂です。テント場で夜にうるさかった水音の大元のようです。日当たりの悪い樹林の坂道ですが、キヌガサソウ、タテヤマアザミ?、オオレイジンソウなどの高山植物が見られました。ぐんぐん登って薬師平に近い空の開けた場所には、チングルマやハクサンイチゲの群生地があり、9月でこれなら8月はさぞかし高山植物が綺麗だろうと想像できました、さすが花の百名山「薬師岳」です。
キヌガサソウ
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オオレイジンソウ
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ミヤマアキノキリンソウ
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ハクサンイチゲ
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坂を登りきったら、薬師平でケルンがあるらしい。あ~登った、ケルンじゃと思ったが「平」と言うほど広くない案内板も無いので、違うのかと考えながら進むと、7時53分に薬師平の指導標を発見。木道が続き、1分ほど行くとベンチと大きなケルンがありました。「無事に薬師岳に登って帰ってこられますように」と祈りながら、石を1つ積みました。後で思えば、このケルンのお陰で熊さんに襲われずに下山できたのでした・・・ってね。薬師平は標高2477メートル、相変わらず薬師岳は見えませんが、東から南東が開けており、槍ヶ岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳などを眺められました。5分ほどで素通りしてしまったので、詳しい観察をしていないのですが、ニッコウキスゲ、紅葉始まりのイワイチョウなどの高山植物が目に付きました。
薬師平
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薬師平のベンチとケルン
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薬師平の木道は100メートル程度で、木道が終わると直ぐに登り斜面が始まりました。7時59分に薬師平を抜けて、再びエッチラオッチラ登り坂~。標高を稼ぐにつれて、東から南の山並みがド~ンと見えるようになり絶景です。登り坂自体も急ではなく、整備された登山道でラクチンです。徐々に雲が出てきた感じがするのは気のせいか・・・。
薬師平の上 2490m付近から見た山並み(ワリモ岳、鷲羽岳、槍ヶ岳、三俣蓮華岳、黒部五郎岳、北ノ俣岳など)
薬師平から薬師岳山荘までの区間にも高山植物が多く、激しく感動!ハクサンフウロやハクサンイチゲの群生には声を出して喜んじゃいました。
標高 2660メートル(8時37分頃)を越えたくらいの場所から漸く薬師岳山頂と稜線が見えるようになりました。ただし薬師岳山荘は2701mピークの向こう側になるのでぜんぜん見えません。
薬師岳稜線
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薬師岳山荘
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薬師岳山荘への到着は8時47分でした。薬師峠キャンプ場からは1時間42分、薬師平からは48分間ですからほぼ標準タイムです。薬師岳山荘の手前に「国指定特別天然記念物 薬師岳の圏谷群」と彫られた黒御影石の石碑がありました、が薬師岳山荘の場所から見えるのは、タダの谷であり、圏谷(カール)ではありません、念のため。トイレ休憩を兼ねてビスケットを食べエネルギー補給。薬師岳山荘から北東を眺めると、有峰湖、富山平野、富山湾、能登半島まで眺められました。北側にはド~ンと薬師岳の稜線(避難小屋跡とケルンのある標高 2893mピークから東南稜線)が見えます。
景色を堪能し、9時03分に薬師岳山荘を出発。標高 2893mピーク(避難小屋跡)から南西へ延びるガレた尾根を淡々と登ってきます。振り返ると太郎平小屋まで見えて、かなりいい眺めです。何人かの人が避難小屋跡の建物を薬師岳山頂の祠と勘違いして登っているようでした・・・。まだまだ先なのですよ。
9時36分、避難小屋跡(標高 2893mピーク、別名「次薬師」)に到着。この場所には昭和38年冬に発生した愛知大学山岳部大量遭難(13名死亡)の犠牲者を慰霊するケルン形の慰霊碑があります。この避難小屋跡から眺めるカールが国指定特別天然記念. 薬師岳の圏谷群の1つである「中央カール」です。カールがデカ過ぎて、私のカメラ(一眼レフ+24mm-82mmズーム)では入りきらなかったのが心残りでした。
避難小屋跡(次薬師)
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薬師岳の圏谷群・中央カール
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カールを堪能し、10時ちょうどに薬師岳山頂に到着。薬師峠キャンプ場からは約3時間です。写真を撮りまくっての登山にしては、とりあえず順調なペースです。なんだかガスが出てきて天気が怪しくなりそうですが・・・。山頂には祠があり、薬師如来ほかの仏様が安置されていました。カメラを岩の上において、リモコンを使い記念撮影。
遂に見えた薬師岳山頂(写真:2014年9月3日9時58分撮影)
山頂の祠
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記念撮影
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時間があるので当初予定通りに北薬師岳まで行くことにし、10時16分に薬師岳の山頂を出発。標準タイムだと下り30分で北約薬師岳に着くはずですが・・・。登山道としては、砂礫地と岩場が交互といった感じの道です。稜線を行くので、風雨がきついと非常に歩き難くバランスを崩しそうになります、荒天時通行注意。雲が多くなり、北の空は完全に雲に覆われ、剱岳・立山方向の展望はゼロとなりました。時折、北薬師岳にもガスがかかる状況となりました。夏の気候で、昼以降は上昇気流で湿った空気が運ばれてガスってきた雰囲気です。私は、岩場の道が得意でなく、アップダウンがあると更に遅くなります。
薬師岳から北薬師岳への稜線
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金作カール
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北薬師岳に到着したのは、11時8分でした。標準タイムが30分に対して、今回の私は52分もかかり、やはり岩場は不得意でした。楽しみにしていた、北側にある山並みの展望が、雲で遮られ~、何のためにここまで来たのか、と独りで愚痴りました。ただし、金作谷カールと薬師岳山頂の景色を見られてよかったです。また、崩落著しい北カールも一応見られました。
北薬師岳 山頂
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北薬師岳から見下ろした北カール
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ガスも出て山並みも展望できなく、多少不満の募った北薬師岳でしたが、天気ばかりはどうにもなりません。ので諦めて、11時14分に北薬師岳を出発し、再び薬師岳へ向かいしました。途中でトレラン中の兄さん二人組に追い越される、聞くと朝に折立を出発しピストンするとのことでした、恐るべし・・・早足。薬師岳に着く前にお腹が空いたので、風が遮られる稜線東側のハイマツの陰になる登山道のところで行動食(カロリーメイト)をパクリ。薬師岳山頂の下まで来た時に、右下の写真の岩を発見。写真では判り難いですが、二枚の岩が寄り添うように立ち、地面の所が空洞になっており、その空洞の中に細長い岩が幾つか立っていました。妄想を膨らませ、「薬師如来の岩のお堂」ってことを想像しちょっと嬉しくなりました・・・。話は変わりますが、帰宅しGPSロガーで計測した歩行ルートを確認すると、薬師岳から北薬師岳のルートでは行きと帰りに歩いたコースがかなりずれていました。岩稜を歩くことが多かったので、行きは本来のルートから外れることが多かったようです。つまり道迷い寸前だったのでしょう、ガスが出ていて方向感覚が失われたらどうなっていたか判ったものじゃありません、クワバラクワバラ。
足取り軽やかトレラン二人組み
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見立て、岩の祠と仏
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再び薬師岳山頂に到着したのは12時04分、北薬師岳からの所要時間は50分間(やはり標準タイム(40分)オーバー)でした。2時間前にも来たので写真はいいかなとも考えたのですが、先ほどは三角点を写していなかったので、またもやパチリ。ついでに「薬師岳 2,926m」の標柱もパチリ。そうじゃ、12時なので昼ごはん代わりのカロリーメイトとビスケットを食べる。祠の東側(カール側)の石垣の場所が風よけになり、休憩に適しています。
二等三角点「薬師ケ岳」
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「薬師岳 2,926m」標柱と薬師の祠
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休憩を終え12時18分に薬師岳山頂を出発、ガスが出て怪しい天候なので、出来るだけ素早く薬師峠のテント場まで下りたいと考えつつ、写真を撮りまくる・・・。避難小屋跡のある2893mピークは、西側をトラバースする登山道があるのでピークによらずに、12時27分に素通りしました。眼下に見える薬師岳小屋までは中程度の大きさの岩がゴロゴロした登山道を下る。実は「こんな岩ガレの登山道登ったっけ」などと記憶の無い私でした、きっと見上げた薬師岳稜線の写真に集中していたのですね。結構ガスってきたのですが、まだ12時過ぎなので薬師岳山荘に宿泊される登山者が沢山登ってきます。薬師岳までどのくらいですか?って聞かれたので正直に「40分~50分」「それから真上のピークは薬師岳山頂じゃないよ」って答えました、ゲロゲロって感じでした・・・皆勘違いするよね避難小屋跡。
薬師岳を目指し岩ガレ登山道を登る人々
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絶景、薬師岳山荘はもちろん太郎平まで
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薬師岳山荘には12時50分に到着、薬師岳からの所要時間は32分間です。サクサク下ったので標準タイムより多少早く下りられました。薬師岳山荘手前のハイマツの茂みに黒い鳥が出入しているので、じっと見ると烏のような鳥です。尻尾の一部が白いので多分ホシガラズですね。
12時59分に薬師岳山荘を出発、順調に下っていると13時6分頃(標高 2650m)に向こうから来る登山者が「この先の登山道から少し外れた場所に熊がいます」と教えてくださり、30メートルの近さから写した写真も見せてくれました。確かに指差された場所を見ると親子の熊2頭がいました。わたし、自然の熊を見るのは初めてです。まぁ、この距離なら大丈夫と考えながら登山道を下っていくと、ありえないことに、熊も登山道に近づいており、仕舞いには登山道を横切りました。ビビリまくりました。実は、多くの登山者が熊鈴を付けているのを見て、『こんな標高の高い場所で熊なんて居ないだろう』と密かに考えていたのですが、明らかに私の経験不足でした、反省。熊が横切るのを見て、5分ほど待ち、警戒しながら進みました。大量の熊の糞が登山道にあり、ブルベア。いや~、熊にもビックリしたけれど、薬師信仰の山だけあって、修験者もいるんですね、足元は地下足袋でしたが、背中には普通の登山ザックがありましたとさ。
母熊と小熊に修験者
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熊の糞
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ミヤマコウゾリナ
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何となくハート型の池塘
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熊にビビリながらも、13時35分に薬師平に到着。薬師岳山荘からの標準タイムが50分なので、熊遭遇による停滞時間を含めても36分間なので快調なペースですね。朝も通った薬師平ですが、じっくり観察するとイワイチョウの紅葉が始まっておりいい感じです。
薬師平、イワイチョウの紅葉
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薬師平と北ノ俣岳
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薬師平を過ぎると沢沿いの登山道を下ります。ひたすら下りました。薬師峠キャンプ場の自分のテントに到着したのが14時05分です。朝は7時05分に出発したので、今回の薬師岳&北薬師岳の往復所要時間は7時間ジャストでした。熊に食べれること無く、登山中のケガも無く、無事帰って来られてよかったです。めでたしめでたし。時間もあるし、登山で頑張ったご褒美に太郎平小屋まで行き、缶チュウハイを飲みました。キリンの氷結グレープ(350ml)が400円と山小屋としては安かったです。ちなみにビールは350mlはサントリーのモルツで600円でした。ブラブラしたり、他の登山者とおしゃべりして楽しいひと時を過ごし、16時30分頃にテント場へ戻り食事、今晩のメニューは「ドライカレーのアルファ米」「牛丼のレトルトパック」です。パパッと食べて、テントに入り、タブレット(Google NEXUS7)をいじって、19時には睡眠モードに。ナカナカ寝付けなかったけど、1時くらいから明け方まで爆睡しました。
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2014年9月4日、曇り一時霧雨。薬師岳登山の疲れがあったようで、4時50分くらいに漸く目を覚ましました。予想通り天気は完全な下り坂です。雲というかガスがかかっています。既に周りのテントの多くが撤収されており、私のテントは取り残された感があります。皆さん、雨が降る前に下山を急いでいるようです。でも私はこれから朝飯を食べて、テントを片付けて・・・あ~忙しい。テント泊の何が面倒かというと、撤収です。いつもの雷鳥沢キャンプ場だと、室堂ターミナルまで1時間だから、朝露に濡れたテントが乾くのを待つなどゆっくり撤収するのですが、今回は空模様から折立には昼前に戻らないといけなさそうです。つまり、7時にはキャンプ場を出発しなきゃなりません。
で、朝ごはん(五目御飯のアルファ米 = お湯で15分とヌードルスープ)を食べて、歯磨いて顔洗って、テント場の写真を撮ってと忙しく、結局バイオトイレでのオコジョは見られず。濡れたテントを拭いて、ザックにお片づけ~。2泊したけど、ザックは軽くなっていませんでした。推定13kgほどです。
7時06分に薬師峠キャンプ場を出発、ホントに怪しい天気です。水滴が付くほどではないのですがガスが段々濃くなってくるような気配です。ひたすら太郎平へ歩いたと言いたいのですが、それでも3枚ほどパチリ。7時22分に太郎平小屋に到着。霧雨のようなものが降ってきたので、合羽は着ませんでしたが、ザックカバーを装着、一眼レフは防水袋に入れて、写真撮影は一時中断を決定。
7時35分に雨支度を済ませて、太郎平小屋を出発。雨雲に追われるようにひたすら下山しました。8時06分に五光岩ベンチに到着(太郎平小屋から五光岩ベンチまで31分間)、いや~写真を撮らずに急いで降りると、私でも速いペースで歩けるんですね、まぁこの区間は木道や石畳で比較的歩き易いんですがね。何だか標高を下げると雨雲を抜けたようで薄曇の空で一部には青空も見えて来ました。ラッキーと言うことで、ザックカバーを仕舞い、再びカメラを取り出しました。
五光岩ベンチを8時13分に出発、またひたすら下ります。途中、白髭のニッカズボンを履いたお爺さんと一緒になり「ベテランですか」と聞くと「登山暦65年」とのことでした。この人とは気が合って、最後までお話して下山しました。途中で聞くと「高1で登山を始めた」とのことだったので80歳でした。足取りもしっかり、背筋もぴんとして名のある登山者のおじいさんのようでした。ひたすら下山を続け、「あ~剱岳を見たい」と念じながら歩くと、雲が多いながらも三角点の手間で雲間に剱岳を拝むことが出来ました、よし!
三等三角点「青淵」に到着したのは9時17分、五光岩ベンチから1時間4分かかりました。ほぼ標準コースタイムですが、疲れが足に出始めているようでした。三角点のベンチで長めの休憩、先ほどのおじいさんと登ってきた女性登山者の三人で爺ちゃんの登山話などで笑ってました。剱岳の写真をもっと撮りたかったのですが、あいにく雲に隠れたままとなりました。
9時35分に三角点を出発、次の目的地は折立登山口なので最後の日と頑張りです。下りの標準コースタイムは1時間10分とされていますが、かなりシンドかったです。この先の下りは、木の根っこ等があり滑りやすく、所々に大きな段差があるので非常に歩き難いです。多分、登りよりも下りが大変な登山道です。アラレちゃん展望所を10時03分、折立登山口にたどり着いたのは11時03分でした。薬師峠キャンプ場から折立までは4時間、三角点から折立までは1時間半でした。
無事、薬師岳登山が終わりました。単独行で淋しかったので、途中でご一緒した何人かの登山者の方々に助けられて登りました、ありがとうございました。折立からは、有峰林道を通り、亀谷ゲートを出た場所にある「白樺ハイツ」で日帰り入浴(610円)し、ハイツにあるレストランで蕎麦とノンアルコールビールを飲んで満喫しました。運転があるのでアルコールの無いビールでしたが登山のなので最高の味わいでした。
次の登山は、「錦秋の立山室堂」の予定だよ~。
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