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雷鳥を探して「春の室堂ハイキング」


 私の2014年の山スローガンである「毎月立山」の5月編です。今回のテーマは「雷鳥」に出会うです。先月(4月)は「雪の大谷」がメインであったので、雷鳥については1時間程度探しただけで結局見られませんでした。なので5月は重点課題を雷鳥として、丸一日を費やす覚悟で室堂を歩き回りました。
 ハイキングルートは、雷鳥に出会って満足できる写真を撮れるまで、ひたすら室堂と周辺を歩き回るのでコースと時間は特に決めず、行き当たりばったりとしました。ただし、4月に行った時に目星を付けて置いた「血の池」と「りんどう池」の間の登山道(尾根道)付近のハイマツと丸山は雷鳥が居そうなポイントなのでその場所は押さえる様にします。また「みくりが池」「みどりが池」「国指定重要文化財 立山室堂」も四季の写真(定点観測写真)を撮影しているのでそこへも行きます。と、まぁ、どんどん歩き回る雪中ハイキングです。夏山だと、室堂は散策道がありルートが限定されるのですが、雪のある時期は(おおよそ6月中旬まで)比較的自由に歩けます。ただし、雪が融けてハイマツが露出している場所へ踏み込んだりするのは厳禁です。また崖になっている場所や沢の斜面などは雪があっても崩れる恐れが有るので極力近づいてはいけません。更に4月と5月および11月は、雪崩の危険があるため、散策道以外のエリアに入るときは雪崩ビーコンなどの携帯が県条例(2014年4月以降)で義務付けられています。
 
雷鳥を探して「春の室堂ハイキング」(写真:2014年5月30日撮影)
天気が良ければ「あ~、絶景」とか良いながら散策を楽しめます。みくりが池周辺から見た立山三山、浄土山、真砂岳。
春の室堂ハイキング
 

 
雷鳥(写真:2014年5月30日撮影)、運がよければ直ぐ近くからでも見られます。
雷鳥
 
春の室堂ハイキング地図(Google Map)
 
春の室堂ハイキングでのルート上のポイント
  1. 室堂ターミナル
  2. みくりが池
  3. みくりが池温泉
  4. エンマ台展望台
  5. 血の池りんどう池の間の登山道
  6. 丸山
  1. 雷鳥沢キャンプ場
  2. 雷鳥沢ヒュッテ
  3. らいちょう温泉 雷鳥荘
  4. みどりが池
  5. 立山室堂山荘
2014年5月30日 春の室堂ハイキング 登山記録 始まり・・・
 
 立山駅を朝二番の立山ケーブルカー(7時20分)に乗車し、美女平からの7時30分発(臨時便)の高原バスに乗車しました。この季節の本来の第1便バスは7時40分なのですが、海外からの観光客が多いため増便体制をとっているようです。ただし、この時間帯の乗客はほとんど日本人です。2014年の春は雪が少なく、始発の美女平にある立山杉の森にはほとんど雪がありませんでした。標高が上がるに従い、積雪は増えていきましたが、都会から来た人にはビックリの積雪量ですが、4月にも来ている富山県民の私から見るとそんなにはありませんでした。室堂ターミナルへの到着は、8時15分でした。
 外(室堂平)へ出る前に、まず室堂ターミナル内で準備です。長袖Tシャツを着こみ、アンダータイツを履き、登山用の厚手靴下を履きます。足元が冷えないように、スパッツ(ゲーター)もつけます。上着は、夏用長袖シャツの上に、風よけのアウターを着ました。外はまだ10℃以下と平野部ならば真冬並みの気温ですが、晴天なので歩き回ると、かなり暑くなりそうなのでこれ以上の寒さ対策は不要です。ただしこれは晴れの場合で、5月や6月中旬までは、曇りや風、更に雨となるとキッチリした防寒対策が必要です。もちろん晴れた日は、雪からの照り返しもあり、夏よりも強い日差しがあるので、サングラスは必携です。また日焼け止め対策も忘れてはいけません。足回りは、夏用の防水の効いた登山靴に、アイゼンを準備しました。5月の室堂の雪は、残雪のザラメで締まった雪のため、基本的にスノーシューやカンジキは不要です。ストックは、夏に使っているI型ストックで、雪用に直径の大きなスノーバスケットを使います。そのほかに毛糸の帽子、手袋、レインウェアー、着替え、タオルなどなどがあり、一眼レフ+レンズなど荷物を満載し、ザックはテント泊用の60Lサイズです。今回は日帰りなのですが・・・、大は省を兼ねるです。
 準備が整い室堂ターミナルを出発したのは 8時36分です。まず向かうのは「みくりが池」です。ターミナルからみくりが池へ行く道の左手はハイマツが生える雪原となっているライチョウ保護区域で立入制限のロープが張られています。つまり雷鳥を見られる確立の高い場所です。夏の時期でも、この辺りからみくりが池の散策道にかけて、雷鳥の姿を見かけます。ただし今回(朝)は雷鳥さんに会えませんでした。8時50分頃にみくりが池到着。今日のみくりが池は、池の湖面周辺の雪がとけ、湖面に三日月の様に水が見えていました。晴れており、太陽をバックに(つまり逆光)立山とみくりが池の写真をパチリ(ページ上部の写真)。みくりが池の写真を撮った後は、みくりが池温泉のテラスで、早くも小休憩です。暑くなってきたので上着を一枚脱ぎました。また、雪道とは言え、アイゼンも必要ないので外してザックにしまいました。みくりが池温泉のテラスは、ベンチやテーブルもあり、休憩に最適で、見晴らしも良く、正面に大日連山、その下には地獄谷が広がっています。みくりが池温泉の源泉は、この地獄谷から温泉を汲み上げています。9時4分にみくりが池温泉を出発し、9時7分にエンマ台展望台に到着。この場所は名前のとおり、見晴らしが良いです。東には雄山・大汝山・富士の折立からなる立山三山、立山三山の山腹には氷河に削られて出来た「山崎カール」、西にはみくりが池温泉のテラスからも見えた大日連山と地獄谷、北には雷鳥坂と別山乗越や別山およびチョビットだけ剱岳など、ほぼ360度のパノラマです。
 エンマ台展望台では写真を撮ることなく通過し、雷鳥のいそうな血の池とりんどう池の間の登山道のハイマツへ向かいます。展望台からは目と鼻の先なので、9時12分に到着。この場所は、夏山では基本的には素通りされるポイントですが(まぁ、血の池とりんどう池を見るくらいの場所)、雷鳥にとっては大事な場所で、みくりが池から血の池への斜面と周辺は雷鳥の越冬地といわれています。そんな訳で、春先はこのエリアでよく雷鳥が見られます。で、この場所に到着し、ザックを下ろし、カメラを取り出し、ハイマツの周りを一周しました。当然ながら4月に来た時より、雪が融けており、ハイマツの露出が大きくなっていました。雷鳥の泣き声も聞こえず「う~ん、ハズレ」と登山道に戻ると、山スキーの人が「ライチョ~」と騒いでいました。9時18分にようやく雷鳥に出会えました。雄の雷鳥でした。りんどう池側の斜面にあるハイマツに隠れるようにしているので追跡できず(斜面が急で火山ガスのため立入禁止エリア)・・・。仕方なく登山道から覗き込むように写真を撮りました。雷鳥撮影を目的のハイキングとしては出だし順調です。
 
血の池とりんどう池間の登山道で見た雷鳥(写真:2014年5月30日撮影)
血の池とりんどう池間の登山道で見た雷鳥
 
 雷鳥を見られたので気を良くして次の目的地「丸山」へ向かいます。東側に見える岡が丸山です。この場所から丸山へは、夏場ならかなり大回りとなるのですが、今回は積雪のおかげで、本来は登山道ではありませんが直行できます。ルートとしては、2390メートルの現在地から、浄土沢の2310メートル地点まで下り、丸山の南東部 2370メートルまで雪の急斜面を登ります。登山道はありませんが、山小屋へ荷揚げする雪上車の道が一部(浄土沢沿い)あります。
 血の池とりんどう池間の登山道を 9時30分に出発、途中(9時42分頃)にハイマツが茂った場所があったのでウロツクも雷鳥にあえず・・・。とりあえず下りでラクチンです。浄土沢と思われる場所(一番標高の低い所)に着いたのは 9時53分でした。この浄土沢には雪上車で圧雪された道が出来ており、雷鳥沢ヒュッテやロッジ立山連峰への荷揚げに利用されているようです。浄土沢から丸山の標高差60メートル、結構な急斜面です。もちろん踏み跡などはなく、自由に登れます。雪も比較的硬く、5センチほど沈むだけです。この場所から見る浄土山が良い感じです。斜面を登っている最中に、白い鳥が一羽バタバタとハイマツからハイマツへ飛んでいきました。紛れもなく雷鳥さんです。丸山に期待です。10時10分に丸山の南東部(稜線)の上がりきりました。この丸山は、冬季の積雪が比較的少なく春の早い時期(4月下旬頃)から、雷鳥のエサとなるハイマツが露出することから、雷鳥写真を趣味とする人の間では有名な場所らしいです。
 
丸山(写真:2014年5月30日撮影)、雪のため判りにくいですが・・・。
丸山
 
 雷鳥沢キャンプ場から丸山を眺めると確かに山っぽく見えるのですが、実際には立山三山の裾に突き出た小さな尾根のような地形です。国土地理院の地図や山地図(山と高原地図)を見ても「丸山」という名称は記されておらず、「2358」と標高だけ記されています。ハイマツは尾根から浄土沢への斜面に取り付くように生えています。先ほど飛ぶ雷鳥を見ているので、このハイマツ群のなかに雷鳥がいるはずですが、鳴き声すらせず、結局丸山では雷鳥の写真は撮れませんでした。尾根は北へ延び、約400メートル歩いた標高2350メートルの場所で尾根と呼べる場所が終わり、浄土沢への急斜面となります。10時24分に斜面を下り始めました。山スキーなら、シュシュとあっという間でしょうが、ゆっくりジグザグにハイマツを覗きながら下りました。再び浄土沢の雪上車道へ出たのは 10時36分、そして今度は雷鳥沢キャンプ場への登りです。夏場なら、キャンプ場のある雷鳥平から浄土沢ってかなりの標高差がある崖なのですが、積雪があるので、感覚的には半分程度の標高差しか感じませんでした。雪解けが進んでいるので、崖のところは、積雪に深い亀裂(クレパス)が入り、ソロソロ雪原を歩くには危険な季節に入りつつあるようでした。
 
浄土沢から雷鳥平(雷鳥沢キャンプ場)への斜面にあった亀裂(写真:2014年5月30日撮影)
浄土沢から雷鳥平への斜面にあった亀裂
 
 丸山から約25分後の10時45分に雷鳥沢キャンプ場に到着しました。一面の雪原で、テントは1張りだけでした。午後になるともう少し増えるのかもしれません。積雪は推定3メートル程度ですかね。管理棟は、掘りおこされており、水洗トイレと洗面所(水場)を利用できるようになっていました。少し早いですが、管理棟の入口の所に座り、コンビニのお握りを食べて昼飯としました。トイレは、チップ制(100円程度)なのでケチって我慢しました。テント場の開設は、ゴールデンウィークにあわせて4月下旬からのようです。
 11時2分に雷鳥沢キャンプ場を出発し、雷鳥沢ヒュッテを目指しました。左手の斜面は7月頃まで雪が残る山スキーのゲレンデです。夏には無い見慣れないものがあり、近づいて見ると、ナント、リフトでした。室堂ってリフトのある立派なスキー場だったようです。正式名称?は「立山 雷鳥沢 T-bar リフト」、簡易リフトで、雪にアンカーを打ち込み機械を固定し、ワイヤーにスキーヤーが持つバーを引っ掛けて、雪面を滑って登っていきます。リフトの乗り場は、キャンプ場から雷鳥沢ヒュッテへの登山道から斜面を20メートルほど入った場所にあり、リフトの降り場はらいちょう温泉 雷鳥荘の下の斜面でした。このリフトの料金は、1回 200円、6回 1000円、1日 3000円となっており、営業時間は 9時から12時と13時から16時となっていました。
 
立山 雷鳥沢 T-bar リフト(写真:2014年5月30日撮影)
立山 雷鳥沢 T-bar リフト
 
 11時17分に雷鳥沢ヒュッテの前に到着し、素通り・・・。山ゲレンデとなっている急斜面を登ります。何となく、夏場の階段登山道を登るよりは楽な感じでした。そして11時40分にらいちょう温泉 雷鳥荘に到着。雷鳥荘の東隣にあるベンチ&テーブルの休憩場所でザックを下ろし、休憩です。結構好きな見晴らしポイントです。眼下には雷鳥平(雷鳥沢キャンプ場)があり、北正面には雷鳥坂があります。空を見上げると夏に見たラジコンヘリコプター「Grass HOPPER」が飛んでいました。小休憩し 11時49分に出発、右手にりんどう池のある雪に埋もれた場所を眺めながら下って登って、午前中に来た「血の池とりんどう池の間の登山道(雷鳥のいたハイマツ)」の場所に戻ってきました。朝と違い今度は雷鳥は見当たらなかったので素通りし、この場所を通過したのが 12時05分、エンマ台展望台へは 12時15分に到着。時間に余裕があるので、大日連山をパチリと撮って出発。またまた、みくりが池温泉のテラスで休憩(12時26分から12時36分)です。トイレを借りたので、御礼に自販機で缶コーラ(200円)を購入、大好きな缶チューハイもありましたが、お酒を飲むとだやくなる(富山弁=だるくなる)ので自粛(先月の天狗平山荘で飲んだ立山(日本酒)で反省しました)。
 みくりが池温泉を出発し、みどりが池へ向かいました。途中は右手にみくりが池を眺め、左手は雷鳥坂や別山とチョビットだけ剱岳で、景観的に楽しめる散策道(当然この時期なので雪道)です。みどりが池へは、12時48分に到着。4月に来た時と同様に、みどりが池は雪に埋もれて、跡形も無く、単なる雪原でした・・・。
 
5月のみどりが池(写真:2014年5月30日撮影)
5月のみどりが池
 
 みどりが池の定点撮影を終了し、12時55分に出発。次は何処へ行こうか?、南東へ真っ直ぐ行けば立山室堂山荘なのですが、味気ないので、南東へ行き、途中の雪上車道で南西へ曲がり、みくりが池の南側へ出て、室堂平を経て立山室堂山荘への大回りコースとしました。朝9時前に室堂ターミナルを出発し、途中に休憩をしているとは言え、4時間以上も雪の上をホッツキ歩いているのでちょっと疲れ気味で、ボッ~と歩いていると、谷になっている遠い場所に、動く点、望遠レンズで見ると雷鳥でした。本日3羽目の雷鳥です。それなりに長い時間見られたのですが、遠すぎて、小さくしか写せませんでした、残念。
 
遠くから見た雷鳥(写真:2014年5月30日撮影)、この距離では夏だったら保護色で絶対見つけられません。
遠くから見た雷鳥
 
 雷鳥を見て、少し幸せな気分になり、みくりが池の南側へ出ました。この辺りからは、「みくりが池と大日連山」の風景が雄大で絵(写真)になります。と言うことでパチリパチリ。そして、室堂平の雪原を闊歩しながら室堂山荘へ向かいます。夏なら散策道しか歩けませんが、積雪期のため広々とした雪原の室堂平を自由に歩けます。自由と言っても、疲れているし、雪の上は歩き難いので、結局のところ室堂山荘へ向けて直線で歩いたに過ぎません・・・。で、13時52分に国指定重要文化財 立山室堂に到着。本日、何度目かの定点撮影です。
 
5月の立山室堂(写真:2014年5月30日撮影)、雪解けが進み屋根が出てきました。
5月の立山室堂
 
 室堂山荘の東側に、立山を眺める場所(ベンチあり)があります。私のお気に入りポイント、今回は16mmの広角ズームレンズを用意しているので、雄大な写真が撮れるはず、さてさて・・・。
 
5月の立山(写真:2014年5月30日撮影)、雪で遠近感の乏しい写真かも・・・。
5月の立山
 
 室堂山荘の撮影ポイントを14時05分に出発し、再びみどりが池(14時15分)を通り(今回は素通り)、三度 みくりが池温泉へ14時30分到着。気が向けば温泉へでも入ろうかとも思っていましたが、出発から6時間経過で疲れちゃって「帰りたいモード」のスイッチが入り、少し休んで室堂ターミナルへ戻ることにしました(結果的には良い判断でした)。
 
 みくりが池横の登山道をテクテク歩いていると、人だかりがありました。本日4回目の雷鳥でした。登山道の人だかり&カメラのシャッター音も気にしない様子の強気の雷鳥(メス)でした。私もあわててカメラを取り出し、連写の嵐、パシャパシャパシャパシャって4連写です。かなり至近距離(2メートルくらい?)で撮影が出来、超ラッキーと喜んでいると、向こうにも人だかりがありました。行って見ると、今度は凛々しいオス雷鳥ではありませんか!どうやらこの登山道周辺のハイマツを縄張りとしている雷鳥のつがいのようです。人慣れ(カメラなれ?)しているのか、どんなにカメラを向けてもヘッチャラの、観光客へのサービス精神旺盛の良く出来たライチョウ夫妻です。結局この場所で50分くらい雷鳥の写真を撮り続けました。最後は、私が疲れきってしまい撮影終了となりました。考えてみれば、室堂で夏場に雷鳥を一番多く見かける場所は、このみくりが池周辺なので、わざわざ6時間以上も雪の上を歩き回らなくても、この辺に待機していればよかったです。来年は、みくりが池からりんどう池の当りをひたすら往復し、雷鳥を探すことにします。で、かなり幸せな気分になり、室堂ターミナルにたどり着いたのは、15時45分でした。
 
雷鳥のつがい(写真:2014年5月30日撮影)
雷鳥のつがい
 
おしまい、長い駄文を読んでいただき、ありがとうございました。
 

 
立山室堂ハイキング
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