いこまいけ高岡
富山県の曳山祭り
富山県には、高岡市の
御車山祭に代表される多くの
曳山祭りがあります。庶民の経済力が高まり町民文化が花開いた17世紀中盤以降に各地で曳山が作られるようになりました。江戸時代の越中では、高岡と城端の漆芸、高岡の金工細工、井波の木彫、八尾と城端の絹織物など現在に伝わる多くの高度な工芸技術があり、これらの粋を結集した曳山が出来上がりました。
曳山の意匠。
曳山の車輪。御車山祭が富山の曳山の発祥であるため富山県西部で多くの曳山祭りが行われています。
曳山の形状は大きく分けると2種類あります。最もポピューラーなのが花山です。これは御車山祭の曳山で曳山上部に花傘があります。高岡市および周辺地域に多くの類例を見ることが出来ます。
城端曳山と
八尾曳山は、形状が異なり、高山祭の曳山のような御殿風の曳山となっています。また、いわゆる曳山とは形状が大きく異なりますが、砺波地方には
福野夜高祭りに代表される行燈を組み上げた曳山があります。祭りの時期としては、春が圧倒的に多いです。雪に閉ざされた長い冬のあとに来る暖かく麗らかな季節に祭りが集中します。ただし例外もあり、7月に
氷見祇園祭、秋祭りとしての
新湊曳山祭り・海老江曳山祭り・大門曳山祭りがあります。
祭りの形態としては、まず必須の曳山巡行、殆どの場合に神輿渡御が行われ、獅子舞の出る祭りもあります。異色なものとしては、子供歌舞伎が行われる
出町子供歌舞伎曳山祭りがあり、城端曳山祭りでは庵屋台と傘鉾が曳山に随行します。夜になると提灯を飾り付けた提灯山となって曳きまわされるものがあります。
伏木曳山祭では「けんか山」とも呼ばれ提灯山の豪快なぶつかり合いがあります。
高岡市
5月1日、曳山は7基。高岡の御車山は、1588年(天正16年)豊臣秀吉が御陽正天皇と正親町上皇を京都の聚楽第に迎えるときに使用したもので、加賀藩初代藩主である前田利家が秀吉より拝領し、2代藩主前田利長公(高岡開町の祖)が1609年(慶長14年)に高岡城を築くに当たり町民に与えられたのが始りとされています。富山県の曳山祭りの元祖です。
国の重要有形民俗文化財および国の重要無形民俗文化財に指定されています。
4月23日。境内にある三本の杉の大木の前に築山が築かれ祭事が執り行われます。築山は、御車山祭の山車の原型と言われています。富山県指定無形民俗文化財です。
5月15日、曳山は6基。港町伏木を代表する祭りです。昼は華麗な花山の姿で町内を曳き回され、夜になると提灯山に姿を変え町内2箇所で「かっちゃ」と呼ばれる曳山のぶつかり合いが行われます。曳山には約360個の提灯が下げられ、ぶつかり合うさまは豪快そのものです。別名「けんか山」とも呼ばれます。
富山市
5月3日、曳山は6基。おわら風の盆で全国的に有名な八尾の中心部(諏訪町、上新町、東町、西町)で行われる富山県内でも有数の曳山祭りです。昼間は6本の豪華絢爛な曳山が町内を練り歩き(曳き廻し)、夜は千余りの灯がともされた提灯山となります。富山県指定有形民俗文化財です。
5月第3土・日曜日(2017年5月20日・21日)、曳山は13基。東岩瀬で行われる岩瀬諏訪神社の春季例大祭です。頑丈に造られた山車本体の上に「たてもん」と呼ばれる行燈飾りを取り付けています。夜には山車どうしが激しくぶつかり合う曳き合いが行われます。
4月第2土曜日(2017年4月8日)、曳山は1基。富山県富山市下大久保と上大久保地区で行われる八幡宮の春季祭礼です。40人前後の子供たちが曳山を先導し、地区内の17か所で願念坊踊りを踊ります。春から始まる県内の曳山祭りシーズンの一番最初に行われる曳山で、唯一桜の咲く時期と重なる曳山祭りです。
南砺市
5月5日、曳山は6基。1685年(貞享2年)に城端神明社が社殿を再建し春秋の祭りを始めたのが起源です。約280年続いている城端の曳山祭は、江戸時代の祭礼形式を現代に伝える貴重なものです。国の重要無形民俗文化財に指定されています。
5月3日、曳山は4基。福野夜高祭の翌日である5月3日に曳山巡行が行われます。県内では福野夜高祭の方が圧倒的に有名であり、同日に八尾曳山祭が行われるため福野の曳山はあまり有名ではありません。
5月1日・2日、夜高大行燈は7基。江戸時代に福野の町立ての際、伊勢神宮からの分霊を迎えた時に行燈を持って出迎えたのが祭りの始りとされる350年の伝統がある祭りです。2日に深夜には、大行燈によるケンカ行燈が行われます。砺波地方で行われる夜高祭りの元祖です。富山県指定無形民俗文化財です。
砺波市
4月16日・17日、曳山は3基。出町神明宮の春の祭礼です。以前は三町揃って上演していた子供歌舞伎曳山ですが、負担が大きいため現在では当番町を決め3年に一度の上演としています。つまり三町全ての子供歌舞伎を見たければ三年通わなくてはなりません。富山県指定無形民俗文化財です。
6月第2金曜日・土曜日、夜高大行燈は14基。大正時代に始まった五穀豊穣、豊年満作を祈る田祭りです。「突き合わせ」と呼ばれるケンカが二日目に行われます。
6月第1土曜日・日曜日、夜高大行燈は9基。庄川地区で行われる夜高祭りです。初日に花火大会が行われるのが特徴です。
射水市
10月1日、曳山は13基。富山県内最多の13本の曳山があります。昼は花山、夜は提灯山となります。正式名称は「放生津の曳山」で、放生津八幡宮の秋季例祭です。翌日の2日には放生津八幡宮の境内で曳山の原型となったとも云われる築山行事(県指定無形民俗文化財)が行われます。
9月23日、曳山は3基。富山新港の東側にある海老江地区の海老江加茂社の秋季例祭です。
10月第2日曜日、曳山は4基。大門地区の大門神社の秋祭りです。庄川にかかる大門大橋や堤防を巡行する姿が他の曳山祭りでは見られない光景です。
小矢部市
4月29日・30日、曳山は11基。旧北陸街道の要衡地として栄えた石動(いするぎ)でに行われる小矢部市の代表的な祭りです。桃山時代の美術工芸の粋を集めた絢爛豪華な花山車がお囃子にのって石動の街を練り廻ります。
6月第1金曜日・土曜日、夜高大行燈は7基。津沢地区で行われる田祭りです。砺波地方に伝わる4つの夜高祭りで最も豪快な突合せ(けんか行燈)を行うことから「喧嘩夜高祭り」の異名があります。
氷見市
7月13日・14日、曳山は5基。日吉神社と日宮神社の祭礼です。江戸時代の元禄年間に氷見町一帯に流行した疫病封じのため、南町の御座町が京都の八坂神社の祭神祇園神の分霊を勧請し病気平癒を祈願し、この祇園神を神輿にのせて巡行をしたことが始まりと伝えられています。
以下は、富山県内の曳山ではありませんが・・・、全国的に有名な高山の曳山祭りを紹介します。
岐阜県高山市
4月14日・15日、曳山は12基。高山市内中心部の安川通りの南側・上町で行われる春の高山祭「山王祭」の通称で、旧高山城下町の南半分の氏神様である日枝神社の例祭です。祭りの起源は、16世紀後半から17世紀とされ、大切に受け継がれてきた豪華な屋台とお旅所前で行われるからくり人形奉納が最大の呼び物となっています。国の重要有形民俗文化財および国の重要無形民俗文化財に指定されています。
10月9日・10日、曳山は11基。旧高山城下町の北半分(現在の高山市内中心部の北側)の氏神様である桜山八幡宮で行われる例祭です。16世紀後半から17世紀にかけての江戸時代前半に発祥したされています。国の重要有形民俗文化財および国の重要無形民俗文化財に指定されています。
岐阜県飛騨市
毎年4月19日と20日に気多若宮神社の例祭(19日:試楽祭、20日:本楽祭)です。古川祭の基本的な構成は、「神輿行列」と祭りの開始を告げるために打ち鳴らしたといわれる「起し太鼓」と絢爛豪華な9台の屋台による「屋台行列」からなります。祭りの起源は定かではありませんが、文献に最初に登場するのは、屋台が1776年(安永5年)、起し太鼓が1831年(天保2年)となっています。1980年(昭和55年)に「古川祭の起し太鼓・屋台行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されました。日本三大裸祭りの一つに数えられています。
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